ゼミのイベント

とこよの杜 プロジェクト(大学院)

私たちのゼミでは、大学院生を中心に、自分たちの視野や考え方を豊かにし、自分たち自身の研究活動へと反映させたいと思い、「ようこそ!とこよの杜へ」「とびだせ!とこよの杜へ」を企画しています。

「ようこそ!とこよの杜へ」では、独自の研究をされている先生方をお招きし(あるいは、先生方のもとへうかがい)、その先生方の研究内容の具体や研究を始めるきっかけなどについてうかがいます。

「とびだせ!とこよの杜へ」では、日ごろの講義・演習、そして「ようこそ!とこよの杜へ」で学んだことを活かして、実際にさまざまなフィールドへ赴き、フィールドワークを行います。

「ようこそ!とこよの杜へ」

第1回 奥井遼先生を迎えて(2023年7月15日 於:同志社大学)

2023年7月15日に行われた第一回「ようこそ!とこよの杜へ」では、奥井遼先生(同志社大学)のもとへうかがいました。奥井先生は、院生からの質問を非常に穏やかに、誠実に受けとめてくださり、奥井先生がこれまでどのようなフィールドワークを行われてきたのか、フィールドワークとはどのようなものなのか、フィールドでの作法、フィールドや現場での経験の厚みと思想研究の関係をどのように考えておられるのか、フィールドワークでの経験を論文にするときの作法や葛藤など、貴重なお話をたくさんお聞かせくださいました。

フィールドワークに入る際のキーワードとして奥井先生が挙げられた、外から来たものではあるけれど、徐々に場の構成員になっていく中で、その場に明るさ・楽しさ・温かさをもたらすような存在にもなっていたいう意味での「座敷わらし」のイメージ。特に、現在フィールドワーク研究をしている院生は、この「座敷わらし」のイメージにとても共鳴した様子でした。

奥井先生、お忙しい中、貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました!

「稽古現場における経験は、当事者たち自身が必ずしも自覚しているわけではないことが多い。また現場に居合わせている調査者も、立ち会っているだけではその場に生じている出来事の多くを見すごしてしまう。手元に残った記録を何度も見返す(聞き返す)ことではじめて理解できるものでもある。/ 現象学的記述が、非主題的な経験の再発見を含むならば、それは翻って、書き手や読み手における「経験可能(experience-able)」性を広げる企てでもあるといえる。それは、学ぶことや教えることについて、コミュニケーションについて、誰かと共にいることについて、すでに私たちが経験しているものの意味を改めて明るみに出すことであり、また同時に、私たちが経験していなかったものを改めて経験する企てでもある。」(奥井遼「わざの習得とコミュニケーションーフランス現代サーカスの稽古現場よりー」『メルロ=ポンティ研究』25号、p.104より)

(M2 R.T.)

第2回 尾崎博美先生を迎えて(2023年8月28-31日 於:大阪大学・民族学博物館)

8月28日から31日まで、尾崎博美先生に来ていただき「外国教育史」の集中講義をしていただきました。その中1日には万博記念公園にある民族学博物館へ行き、フィールドワークを行いました。博物館をフィールドとされている尾崎先生、そもそものきっかけはJ.R.マーティンの文献を翻訳したことだとか。その他にも美術館/博物館の良さを語ってくださいました。美術館によっては展示物に触ることができます。一時、尾崎先生は、その展示品に触りたい症候群に陥っていたとか⁈でもそのくらい、実際に見たり触ったりして感じられるものや学べることを大切にされているのだと思いました。学校教育と博物館の関連についても話してくださり、非常に興味深かったです。学校教育の博物館も、教えられる事や展示されているものが文脈から切り離されている点では一致します。一方、学校教育は現在進行形での有用性や効率性が重視されてカリキュラム化されていますが、博物館は“失われたもの”が展示されています。学校教育と博物館を関連付ける発想自体が新鮮だと思いましたが、いろいろと考えさせられるものがあります。尾崎先生は美術館・博物館等を「教育のエージェント」と表していらっしゃいました。今回の講義やフィールドワークを通して、何も学校での授業のみが教育ではなく、美術館や博物館等も教育のエージェントですし、そのような場でない日常生活下にてすでに多くの学びの関係や場があるということを、改めて強く認識しました。また、そのエージェントや解釈する人によって学びが変わることも、改めて学びました。基本どの学びにも、その内容を選んだ側の「偏り」が含まれていて、その偏りによって学び取る側の学びの内容も変わってきます。そのような一見当たり前のことであっても、再度教えていただけたことで学びなおせた部分が多くありました。

尾崎先生、短い期間ではありましたが様々なことを教えてくださりありがとうございました!院生一同、自身の研究内容と関連づけつつ先生の講義やフィールドワークに参加ができ、非常に嬉しかったです。

(M2 M.F.)

「とびだせ!とこよの杜へ」

第1回 箕面こどもの森学園(2023年9月6日)

箕面こどもの森学園に伺い、子どもたちの活動の様子を見学させていただきました。箕面こどもの森学園は、箕面市にあるオルタナティブスクールで、こどもの森では、小学1年生から中学3年生までの9学年が活動しています。

運営するNPO法人の理事・藤田美保様に学校の説明をいただいたのち、実際に子どもたちが活動している様子を見学させていただきました。読み書き計算の練習を1人ではなく仲間と共に行う様子や、学年を超えて編成されたクラス、また、クラスの日常の問題の解決について、スタッフも含めて全員で議論する様子など、学習指導要領に則る学校ではなかなか見られないような学校の在り方を目の当たりにしました。その後、藤田様やスタッフの方に、私たちの質問にお答えいただきました。

見学と質疑応答の中で、「民主的な社会をつくる」という目標や、「自分を大事にし、その上で他者を大事にする」という原理が、子どもたちが行う活動のあらゆるところに現れていることに、最も印象を受けました。また、自分の目的や生き方に対して必要であること、意味のあることを考えるよう子どもたちに促す仕掛けや、「あなたはあなたでいていい」というメッセージが学校のあらゆるところに散りばめられているところも、一般の学校で過ごしてきた自分には新鮮でした。このような点が、子どもたちが学校の作り手であるという民主的な学校を実現するのにとても大きく関わっているように思います。

今日見てきたことは、学習指導要領に縛られず、保護者の深い参画を期待しやすいオルタナティブスクールだからできることも多いと思います。ゆえに、学習指導要領に則る学校が簡単に取り入れられることばかりではないですが、その中でも、学校での学びのあり方に活かせることはないか、また、学校だからこそ果たすべき役割やできることは何か、考え続けたいと思います。

(M2 T.M.)

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